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会長・理事長挨拶

会長就任の挨拶

2023年7月31日
照井 伸彦(東京理科大学)

この度、代議員会での選出および会員による選挙結果に基づき2023年5月の理事会において日本統計学会会長に選出されました。樋口知之前会長をはじめとして歴代会長のご功績を引き継ぐことの重責を感じています。川崎能典理事長をはじめ理事,監事,代議員の方々の御協力を得ながら,学会のために尽力する所存です。

現下の第6期科学技術・イノベーション基本計画においては、あらゆる分野の科学技術に関する知見を総合的に活用して社会の諸課題への的確な対応を図る総合知の推進が謳われており、これを実践する有力な共通言語が統計学およびデータサイエンスと認識しています。またデータサイエンスが叫ばれる以前から、統計学はむしろ文系において応用の拡大をもたらしています。経済学・経営学、社会学・行動科学、心理学はもちろんのこと、言語学、歴史、教育、法学・政治学などでの統計・データ分析の実践には著しい進展があり、分野を超えて隅々までデータ分析が行きわたっています。計算社会科学という学会も誕生しました。これは特定分野のディスシプリンに依存しない学際的でAI・データサイエンス技術の社会実装に力点を置く分野と言えます。またディスシプリンの性格の強い経済学では、ミクロデータへのアクセス拡大とともに高度化してきたミクロ経済/ビジネス実証分析や自然実験に基づくRCT実践など、新しい統計・データサイエンスの応用が急速に進んでいます。これらは統計学が社会の広範な領域に浸透してきた証左であり、今後も応用の拡大と深化が統計学の適切な位置づけを確固たるものとするのに重要であると考えます。このように統計分析・データサイエンスが文系を含めた社会の隅々まで行きわたった状況の視点をもって学会運営を考えることも私に課せられたミッションのひとつと理解しています。

他方、統計やデータサイエンスを教える人材の不足が深刻となっています。データサイエンスに関する学部学科の新設が急ピッチで進んでいるものの人材育成には時間がかかります。この意味で統計数理研究所が実施主体の統計エキスパート人材育成講座は即効力のある特筆に値する活動であり、また本学会を母体として発足した一般財団法人統計質保証推進協会による統計検定はこれを補う重要な役割を担っていると思います。現在、数理・データサイエンス・AIのキーワードで様々な取り組みが求められている中で、統計学の存在感を社会に向けていかに打ち出すかが決定的に重要な局面であり、統計検定受験者のさらなる拡大は、IoT社会で生活する人々のリテラシーとしての統計学の今後の位置づけを適切に方向づけるものと認識しています。

日本統計学会が社会および学術領域においてさらに存在感を示し、また国際的にもさらに発展するように努めたいと思っております。会員の皆様の御支援をよろしくお願い申し上げます。

会長略歴:
照井 伸彦(てるい のぶひこ)経済学博士
現職 東京理科大学経営学部ビジネスエコノミクス学科教授
1991年 東北大学大学院経済学研究科博士後期課程修了
山形大学人文学部経済学科講師・助教授を経て
1994年 東北大学経済学部助教授
1998年 東北大学経済学部教授
1999年 東北大学大学院経済学研究科教授
2017年 東北大学大学院経済学研究科長・経済学部長
20224月 東京理科大学教授、現在に至る
研究分野:
計量経済学、統計学、マーケティング

理事長就任の挨拶

2023年7月31日
川崎 能典(統計数理研究所)

このたび理事長を拝命いたしました。私自身と学会との関わりを,運営への貢献という点から振り返ってみますと,2006年9月から2年間庶務担当理事を務めたのが最初です。当時の庶務担当理事は会計業務や科研費申請など様々な職責も負っており、かなり大変な2年間であったと記憶していますが、現在の理事会や各種常設委員会の体制はうまく分掌がなされており、よりサステナブルな組織体制になっていると感じます。

日本統計学会大会を兼ねる統計関連学会連合大会への運営貢献という意味では、2006年度にプログラム委員、2017年度には運営委員会委員長(前年度は副委員長)を拝命し、貴重な経験をさせていただきました。

理事長は、学会運営のあらゆる面に関与を求められる責任重大なポジションであり、自分のこれまでの限られた経験を元に本当に乗り切れるのか、不安がないと言えば嘘になります。しかしながら、照井会長をはじめ、理事、各種委員会委員をお引き受け頂いた方々はいずれも一騎当千の頼れる方々です。役員、委員の皆様のご協力を得ながら、日本統計学会の発展に努める所存ですので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

さて、向こう2年間という限られた期間ではありますが、今後学会運営において私が重要と考える事項について述べたいと思います。

第1は運営全般に関することですが、コロナ禍終息後の会務運営のあり方を、単にコロナ禍以前のやり方への復帰ということではなく、過去3年間で社会に浸透したオンライン/リモートツールも活用しながら検討して参ります。また、一般社団法人に移行して12年が過ぎましたが、組織や規則の一部に見直すべきところがないかどうか、これまでの理事会からの引継事項を踏まえながら検討を進めます。

第2は、会員であることのバリューの源泉を、このインターネット時代という文脈の中で不断に問い直し、学会事業に反映していくことです。この課題は俄に現出したものではなく、本学会に限らず学術団体が数年来直面しているものですが、back to normalの過程で、学会の重要な機能である人的ネットワーキングが「一周回って」見直される時は必ず来ると考えます。

第3は、統計関連学会連合への協力と、国際関係事業の推進です。これは、連合傘下の学会のひとつとして連合大会に参画し、Japanese Journal of Statistics and Data Scienceに編集協力を行う、という意味では新味に欠けることと映るかもしれませんが、JJSDの出版経費の一部や、国際関係担当理事のご尽力で連合大会や春季集会で開催している国際セッションは、渉外理事が中心となって獲得した科研費で支えられています。こうした財政的基盤の節目を任期の半ばで迎えることに、将に守成の難きを知る思いですが、理事会としてはこの点に最善を尽くして臨む所存です。

この他、統計教育・人材育成を切り口とした社会への貢献も重要ですが、統計教育委員会、質保証委員会の活動を通じて、また統計検定の実施母体である一般財団法人統計質保証推進協会との連携を緊密に保ちつつ進め、必要な機会には各種報告書・提言を取りまとめて社会に発信します。また、理事・各種委員会委員の交代の機会には、多様性推進の観点に立ちつつ人選を進める所存です。

いろいろ申し上げましたが、会員の皆様におかれましては、大会・集会、各種事業に積極的にご参加いただくことで、学会の活動を盛り立てて頂けましたら幸甚に存じます。

理事長略歴:
川崎 能典(かわさき よしのり)博士(経済学)
1965年2月 青森県生まれ
1992年3月 東京大学大学院経済学研究科博士課程中退
1992年4月 統計数理研究所助手
2005年12月 統計数理研究所助教授
2015年4月 統計数理研究所教授、現在に至る
研究分野:
時系列解析、計量ファイナンス、計量経済学

過去の会長・理事長就任挨拶(2017会計年度以降)

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