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2018年度学会賞受賞者の紹介

第 23 回 日本統計学会賞
大森 裕浩 氏狩野 裕 氏
第 14 回 日本統計学会統計教育賞
光永 文彦 氏E2D3.org (Excel to D3.js)
第 12 回 日本統計学会研究業績賞
浅井 学 氏栁原 宏和 氏
第 32 回 小川研究奨励賞
小池 祐太 氏

第 23 回 日本統計学会賞

大森 裕浩 氏

略歴
1985年東京大学経済学部卒業. 1992年米国ウィスコンシン大学マディソン校大学院統計学部 Ph. D.コース終了. Ph. D.取得. 1992年米国オハイオ州立大学コロンバス校専任講師. 1994年千葉大学法経学部助教授. 2001年東京都立大学経済学部教授. 2009年東京大学経済学部教授.
授賞理由
大森裕浩氏は計量経済学, ベイズ統計学の分野への貢献は国際的によく知られ, 我が国を代表する研究者である. 特に, マルコフ連鎖モンテカルロ(MCMC)法を用いたベイズ統計的推測法の開発およびそれらを用いた実証分析における先駆的な研究は高く評価される. 効率的なアルゴリズムのMCMC法の研究など統計理論への貢献も顕著である. また, 主要な学術誌の編集や国際会議のプログラム委員を務めるなど国際的な活動にも優れている.
 大森氏のこのような統計学の発展および普及に対する多大な貢献は, 日本統計学会賞にふさわしいものである.
主要業績
[1] Watanabe, T. and Omori, Y. (2004). A multi-move sampler for estimating non-Gaussian time series models: comments on Shephard & Pitt. Biometrika 91, 246-248.
[2] Omori, Y., Chib, S., Shephard, N., Nakajima, J. (2007). Stochastic volatility with leverage: Fast and efficient likelihood inference. Journal of Econometrics 140, 425-449.
[3] Omori, Y., Watanabe, T. (2008). Block sampler and posterior mode estimation for asymmetric stochastic volatility models. Computational Statistics & Data Analysis 52, 2892-2910.
[4] Nakajima, J. and Omori, Y. (2009). Leverage, heavy-tails and correlated jumps in stochastic volatility models. Computational Statistics & Data Analysis 53, 2335-2353.
[5] Nakajima, J. and Omori, Y. (2012). Stochastic volatility model with leverage and asymmetrically heavy-tailed error using GH skew Student’s t-distribution. Computational Statistics & Data Analysis 56, 3690-3704.

狩野 裕 氏

略歴
1981年大阪大学理学部数学科卒業. 1984年大阪大学大学院基礎工学研究科博士後期課程退学. 工学博士 (1986, 大阪大学). 1984年運輸省海技大学校教養科助手. 1987年大阪大学基礎工学部助手. 1990年大阪府立大学工学部講師. 1994年筑波大学数学系助教授. 1997年大阪大学人間科学部助教授. 2004年大阪大学大学院基礎工学研究科教授.
授賞理由
因子分析, 構造方程式モデル, 楕円分布族における統計的推測等において, 多くの優れた研究業績を挙げ, 論文は国際的な主要学術誌に掲載され高い評価を受けている. また, 計量心理学, 医薬生物統計学, 機械学習等, 多岐にわたる分野においても優れた成果を挙げている. そして, 因子分析と主成分分析の相違に関して教育的観点からも有意義な研究があり,さらに, 広く社会において, 統計学の普及・啓発への貢献が顕著である.
 狩野氏のこのような統計学の発展および普及に対する多大な貢献は, 日本統計学会賞にふさわしいものである.
主要業績
[1] Kano, Y. (1991). The asymptotic distribution of a noniterative estimator in exploratory factor analysis. Annals of Staistics 19, 272-282.
[2] Kano, Y., Berkane, M. and Bentler, P. M. (1993). Statistical inference based on pseudo-maximum likelihood estimators in elliptical populations. Journal of the American Statistical Association 88, 135-143.
[3] Kano, Y. and Harada, A. (2000). Stepwise variable selection in factor analysis. Psychometrika 65, 7-22.
[4] Shimizu, S. and Kano, Y. (2008). Use of non-normality in structural equation modeling: Application to direction of causation. Journal of Statistical Planning and Inference 138, 3483-3491.
[5] Kano, Y. and Takai, K. (2011). Analysis of NMAR missing data without specifying missing-data mechanisms in a linear latent variate model. Journal of Multivariate Analysis 102, 1241-1255.

第 14 回 日本統計学会統計教育賞

光永 文彦 氏

略歴
2004年 東京理科大学理学部第一部数学科卒業,2006年 東京理科大学大学院理学研究科修了,2006年 実践女子学園中学校高等学校教諭,2014年 西大和学園中学校・高等学校 教諭(現職),2018年 東京理科大学大学院科学教育研究科 博士後期課程3年(在学中)
授賞理由
統計教育について数学教育, 情報教育など中等教育を教科横断的観点から授業実践とともに研究を積極的に推進し, 様々な学会において発表していることは優れた貢献として評価される. 特に, 視覚化した新しいデータの分析の教材による授業実践とともに授業カリキュラムや教材の開発を進めている. また, 統計検定運営委員会の委員として統計検定の普及にも尽力していることも評価される.
 光永氏のこれらの活動は, これまでの実績に加え, 統計教育のこれからの発展に大きく貢献することが期待され, 統計教育賞にふさわしいものである.
主要業績
[1] 光永文彦 (2005). 黒板と電子教材を併用した高等学校数学の授業設計とその実践. 数学教育論文発表会論文集 38, 565-570.
[2] 光永文彦 (2007). 積分法と求積法を接続する指導の一考. 数学教育論文発表会論文集 40, 421-426.
[3] 光永文彦 (2015). 技術科・情報科一貫カリキュラム開発(1) 課題解決型統計教育カリキュラム. 日本情報科教育学会誌 8, 93-94.
[4] 山本芳人・光永文彦 (2018). 出席率の向上を目指したWebを使ったクリッカーシステムの開発と評価. 教育システム情報学会誌 35, 48-53.

E2D3.org (Excel to D3.js)

授賞理由
統計データから, 従来の「手書きのグラフ」では表現できなかった「ダイナミックかつインタラクティブなグラフ」を作成することを通じて, 統計データに関する学生と市民の興味・知見を従来以上に高めることに尽力していることは, 優れた貢献として評価される. 特に, Excelからマウス操作のみでD3.jsライブラリーを呼び出せるアプリケーションE2D3を世界で初めて作成し, そのコードをオープンソースとして公開していることは高く評価される.
 E2D3.org (Excel to D3.js)のこれらの活動は, これまでの実績に加え, 統計教育のこれからの発展に大きく貢献することが期待され, 統計教育賞にふさわしいものである.

第 12 回 日本統計学会研究業績賞

浅井 学 氏

略歴
1994年創価大学経済学部卒業. 1998年筑波大学大学院社会工学研究科修了. 1999年立命館大学経済学部助教授. 2002年東京都立大学経済学部助教授. 2005年創価大学経済学部准教授. 2008年創価大学経済学部教授.
授賞理由
金融資産のリスク分析における多変量確率的ボラティリティ変動モデルの分野において多数の顕著な業績を挙げている. その貢献は統計理論, モデル化, 実証分析と多岐にわたっている.特に, 主要な業績として多変量Ito過程の外積として導かれるWishartボラティリティ変動モデルの拡張とその推定法の考案, また実現共分散を用いた予測モデルの特定化と予測力の向上に関する研究において優れた成果を挙げている.
 浅井氏のこのような統計学の広範な研究分野に対する顕著な貢献は,日本統計学会研究業績賞にふさわしいものである.
主要業績
[1] Asai, M. and McAleer, M. (2015). Leverage and feedback effects on multifactor Wishart stochastic volatility for option pricing. Journal of Econometrics 187, 436-446.
[2] Asai, M. and So, M. K. P. (2015). Long memory and asymmetry for matrix-exponential dynamic correlation processes. Journal of Time Series Econometrics 7, 69-94.
[3] Asai, M. (2015). Bayesian analysis of general asymmetric multivariate GARCH Models and news impact curves. Journal of the Japan Statistical Society, 45, 129-144.
[4] Asai, M. and McAleer, M. (2017). The impact of jumps and leverage in forecasting co-volatility. Econometric Reviews 36, 638-650.
[5] Asai, M., Chang, C. L. and McAleer, M. (2017). Realized stochastic volatility with general asymmetry and long memory. Journal of Econometrics 199, 202-212.

栁原 宏和 氏

略歴
1996年広島大学学校教育学部卒業.2001年広島大学大学院理学研究科博士課程修了. 博士(理学).2001年統計数理研究所助手. 2003年筑波大学大学院システム情報工学研究科講師. 2006年広島大学大学院理学研究科准教授.2017年広島大学大学院理学研究科教授.
授賞理由
多変量線形回帰モデルにおいて大標本・高次元漸近理論に基づいて情報量規準AICとBICの一致性について, 従来の知見とは逆の現象の生起を示した成果は顕著な業績である. 特に, 非正規性の下でも, 分散共分散行列の推定量の最大固有値の漸近挙動に基づいてその成果が得られている. また, 標準化残差平均和の最小値に基づく規準量でも同様の結果が得られ, 正準相関分析における変数選択問題においても同様な事実が示されている.
 栁原氏のこのような統計学の広範な研究分野に対する顕著な貢献は,日本統計学会研究業績賞にふさわしいものである.
主要業績
[1] Yanagihara, H., Wakaki, H. and Fujikoshi, Y. (2015). A consistency property of the AIC for multivariate linear models when the dimension and the sample size are large. Electronic Journal of Statistics 9, 869-897.
[2] Yanagihara, H. (2015). Conditions for consistency of a log-likelihood-based information criterion in normal multivariate linear regression models under the violation of normality assumption. Journal of the Japan Statistical Society 45, 21-56.
[3] Yanagihara, H. (2016). A high-dimensionality-adjusted consistent Cp-type statistic for selecting variables in a normality-assumed linear regression with multiple responses. Procedia Computer Science 96, 1096-1105.
[4] Yanagihara, H., Oda, R., Hashiyama, Y and Fujikoshi, Y. (2017). High-dimensional asymptotic behaviors of differences between the log-determinants of two Wishart matrices. Journal of Multivariate Analysis 157, 70-86.

第 32 回 小川研究奨励賞

小池 祐太 氏

受賞論文
Koike, Y. (2017). On the asymptotic structure of Brownian motions with a small lead-lag effect. Journal of the Japan Statistical Society 47, 75-105
受賞論文の評価
小池氏は実現ボラティリティの拡張である実現共分散の推定において顕著な業績を挙げている. 受賞論文では, 2つのブラウン運動過程の相関にタイムラグがあり, さらに観測値には測定誤差が含まれている場合に, 微小なラグ・パラメータをもつときの尤度比過程の漸近的な確率的表現を導出し, 推定量の収束レートが通常とは異なる場合があることを示した. また, 関連する成果は, Econometric TheoryやBernoulli等に発表されている. 受賞論文は実証分析への応用も期待されるものであり,日本統計学会小川研究奨励賞にふさわしいものである.
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